2012年03月10日

遺言状

とある遺品整理をさせていただいた時のお話。




当社の事はアントキノイノチを通じて知ったという

40代の男性が依頼者でした。

故人との関係は兄弟で、隣どおしでお住まいでした。

故人様は精神的に病んでおられ、家のあちこちに

ビール缶やペットボトル、コンビニ弁当などが

転がっていて足の踏み場がありませんでした。




これでも少し片付けたという依頼者ですが、

隣りに住んでいるのになぜこんな状態なのか

私にはわかりませんでした。

それを察してか依頼者が「兄は家にあげて

くれなかったんです」と話してくれました。



パニック障害、うつ、被害妄想など

重度の精神病でいつも気にされていた

のですが、部屋に入れなかったので

何もできなかったと悔やまれていました。

しかし、今回幸いだったのは発見が

すごく早かった事です。

毎日インターホンを押して話されていた

そうで、その日は全く応答がなかった

ため、おかしいと思ってすぐに合鍵を使って

入ると、所謂ゴミ屋敷状態にびっくりしつつ、

呼びかけをしても返答がないので、

入っていくと、唯一ゴミの無い畳の上で

お亡くなりになっていました。




一通り話を聞き終え、見積をさせていただき

後日作業をさせていただく事になりました。



作業当日、いつも通りに作業を進めていくと

私が経験した事がないものがでてきました。

それはなにか。









「遺言状」です。






遺言状といっても大学ノートを

破って書かれたものでした。

そこに書かれていたのは。。。






この家を売る事はできません。

この家を賃貸で貸す事もできません。

この家は残しておいて下さい。

あと火葬はしないで下さい。






との文面でした。




私は困りました。

依頼者はこの家の売却を考えていると

仰っていたからです。




この遺言状を見たら依頼者は困ってしまう

のではないか。

でも故人様の意向は依頼者に見せなければ

ダメじゃないのか。

依頼者の立場からすると見せない方がいいです。

でも故人様の立場からすると見せた方がいいです。

みなさんならどうされます?






私は悩みましたが、依頼者に見せる事を選択

しました。

「故人様の思い」を知ってもらう。

これが正しい選択なのかわかりません。

でも依頼者はできうる事はすべて故人様の

ために努力されていました。

だから今回、故人様の遺言を知ったとしても

この依頼者なら前に進んでいただけると

信じたからです。






結果、どうなったのか。





困られました。

家を売却しようと思っていたので、

当然です。

私も見せるかどうか悩みましたと

打ち明けると

「ありがとう」と言って、

今後どうするか少し時間をあけて

考えますとの事でした。



私の選択が正しかったのかどうかはわかりません。

しかし、故人様はもう何も言う事はできません。

故人様の思いの詰まった「遺言状」。

私には依頼者に見せずに処理してしまう事は

できませんでした。




この仕事をしているとどちらが正しいのか

わからない「選択」を迫られる事があります。

私は色々な状況から判断しますが、

毎回悩みます。当然、上司にも相談します。

今回も上司にも相談した上での結論でした。

私は自分の中では間違った選択は

していないつもりです。

ですが、もっといい方法があったかもしれません。




今回の事で、より一層自分が成長して経験も

たくさんして依頼者、遺族など遺品整理に

関わる人達の手助けにならなければいけないと

学びました。

今回も遺品整理をさせていただいて、

学ばせていただいたと思うダーツキーパーでした。

posted by 遺品整理のキーパーズ at 21:11| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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